ピラティスとの出会いを教えてください
昔から身体を動かすことが好きで、趣味でバレエをやっていました。ところが股関節をひどく痛めたことがあり、知人からピラティスを紹介してもらいました。日本ではあまり知られていませんが、ピラティスは元々リハビリトレーニングとして開発されたものなんです。実際に始めてみると、だんだん調子が良くなってきてバレエのパフォーマンスも上がりました。この時からもっとピラティスを極めたいと思い、資格を取ることにしました。
最初は知人の教室を手伝いながら、講師としての経験を積みました。講師というのは直接生徒さんに向き合う仕事ですから、生徒さんの身体が改善していく様子を間近で見られたり、喜ぶ声を直に聞くことができます。それまでは大きな組織の中で働いていましたが、全く違う面白さを感じました。すごく調子が悪かったのに、数ヶ月のピラティスで改善したという私自身の経験をたくさんの方に伝えたい。そんな想いから、自分の教室を開くことにしました。
どのような特徴を持ったスタジオですか?
ピラティススタジオ ファーレではピラティス専用のマシンを利用したレッスンを行っています。これは体の左右差や、バランスを整えることを目的にしているので、スポーツジムの筋トレマシンとはだいぶ違うと思います。ピラティス専用マシンの良さは、正しい姿勢をとりやすい仰向けで寝た姿勢で運動することができるので、バランスの良い筋肉をつけることができるところです。筋トレを自己流でやっていると、自分の癖の強化になりかねません。正しい姿勢で筋トレをすれば、正しい姿勢を保つための筋肉がつきますし、歪み等が原因の痛みを改善させることもできます。
またピラティス専用のマシンは強弱を調整できるスプリングがついているので、体に負荷をかけることも、補助をすることもできます。例えば膝のケガをしていても寝たまま膝に負荷をかけずに脚のトレーニングをすることができます。高齢の方や産前産後の女性も無理なくトレーニングできますし、医療機関でのリハビリを終えた方のポストリハビリとしてもおすすめです。
ピラティスと筋トレとの違いはどのような点でしょうか?
できるだけたくさんのメニューを少ない回数やる、というのが筋トレとの違いかもしれません。身体の動きは「曲げる」「伸ばす」「左右に側屈する」「回す」の4種類、レッスン中は必ず全ての動きが入るようにトレーニングをします。普段動かさない筋肉も様々な方向に身体を動かしますので、終わった後は皆さん口を揃えて「スッキリした」とおっしゃいますね。
同じトレーニングでもピラティスは「腹筋100回やってシックスパックを目指す」というようなものではありません。あくまで目的は体の筋肉バランスを整え、体幹を安定させること。例えば骨盤の高さが左右で違う場合、その歪みが足の負担になって痛みにつながることがあります。また、歩くたびに骨ばんが揺れると、足にも腰にも負担がかかります。ですから足が痛いという方であっても、まずは体幹の安定に目を向けてトレーニングすることが大切です。
通っている生徒さんについてお聞かせください。
プライベートレッスンでは最年長で80歳代の生徒さんがいらっしゃいます。場合によっては20代よりもよく動けるかもしれませんね。メニューによってはマシンで負担を軽くしながら行うので、無理なくトレーニングされています。60代以上の方も何人かいらっしゃって、続けていくうちにつまづく回数が減ったとか、肩こりがなくなったという方は多いですね。肩こりは体幹を鍛えて姿勢が変わると解消します。その理屈では腰痛も同じ。ぎっくり腰になりにくくなったという声もあります。
ピラティスというと女性がやるイメージがあるかもしれませんが、男性にもおすすめです。ある生徒さんはアウターの筋肉をスポーツジムで鍛えてきたのですが、肩を痛めやすいというお悩みがありました。そのため肩のインナーマッスルを鍛え、ケガをしない体づくりに取り組んでいます。一般的に男性は、アウターの筋肉が強いのでインナーを使わずに動くことができてしまいます。でもこれまでアウターでやっていたことをインナーでやろうとすると、実はすごく難しいしキツイ。動かす筋肉と動かさない筋肉を意識しながらトレーニングをするのは、結構難しいんです。そういう気づきがあるのが面白いと、おっしゃっていた生徒さんもいましたね。
今後の展望や目標のようなものはありますか?
そうですね。今までのスタイルはあまり変えずにいければと思っています。当スタジオはマシントレーニングを取り入れたマンツーマンレッスンと、マットトレーニングを中心にしたグループレッスンがあります。グループとはいえ最大4人という少人数なのでしっかり目も行き届きますから、マンツーマンレッスンも含めて、こういったプライベート感は大切にしていきたいですね。その上で、もう少し拡大できたらという気持ちもあります。今はご予約が取りにくく、お断りすることも多いので、何らかの方法でお受けできるようにしたいなと。大きなスタジオで大人数でやるということは考えていませんので、今の良さをキープしながらうまく実現できるように検討していきたいと思っています。
※上記記事は2023年6月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。