入海 オーナー ＆ 川和田 店長（発酵カフェ ハタケト　テンペセンター南店)のインタビュー

『発酵カフェ ハタケト』とは、どのようなお店なのでしょうか？

【川和田 いづみ 店長】『発酵カフェ ハタケト』では、テンペを始めとした発酵食品や有機野菜をメインとしたお料理を提供しています・・・とは言うものの、まず「そもそもテンペって何？」ってなりますよね（笑）。テンペとはインドネシアにルーツを持つ食材の1つで、大豆の固まりをハイビスカスの裏側にあるテンペ菌で発酵させたものです。そのまま焼いて食べても美味しいですし、お肉と混ぜてそぼろにしたり、野菜と一緒に煮込んだりと、様々な料理法で楽しむことが出来ます。

【入海 健 オーナー】
当店のテンペの特徴は大豆を皮ごと使用し、なおかつ国産の種菌を使っていることです。現地（インドネシア）のものは、かなりクセが強く、そのままでは日本人には難しいものがありました。種菌1つ変えることで、日本人の味覚に合うテンペに仕上がっているかと思います。
これを可能にしたのが、この国に脈々と受け継がれたきた発酵文化のなせる技ということになります。『発酵カフェ ハタケト』では、自由な発想で、テンペを含む発酵食材を美味しいお料理にして提供していきたいと考えています。

お二人それぞれ、この道を志したきっかけと、これまでの経緯をお聞かせください。

【川和田 いづみ 店長】私はもともと、福祉業界で働いていました。精神障害を患った方々が通う作業所にいたんですが、その頃に「食べ物を変えることで病気が治る」という話を何度か耳にすることがあったんです。食に関心を持つようになったのは、それからのことでした。
カフェや和食屋さんでの経験を経て、今回、こちらでスタッフを募集されているというお話を聞き、幸運にも仕事を任せていただけることになりました。「発酵カフェ？ちょっと気になる」というのが動機でしたね（笑）。

【入海 健 オーナー】
農学部で微生物を研究していた頃よりいつかは起業をしたいと考えていました。しかし、大学を卒業する時点では、「じゃ、何をやるか」というのが自分ではわからなかったんです。
もちろんその時点で社会経験はありませんし、何をやるにしても、そのノウハウもなければ力もありません。ならばと、経験を積む意味でサラリーマンになったんですが、これが全く面白くないんですね（笑）。向き不向きもあったかとは思いますが、要するに好きなことではなかったんです。で、自分にとって好きなことはと考えたら、自然と農業へと行き着き、そこからつながって食というものに携わっていこうと考えたんです。
私の母校である明治大学に、30年に渡ってテンペの研究をされていた先生がいらっしゃいました。その先生はテンペの良さを認めて何とか世に広めたいと考えておられ、ならば「自分にやらせてください」とテンペの製造販売を担う『テンペストフーズ』という会社を立ち上げました。
『発酵カフェ ハタケト』は、そのテンペを使ったお料理を出す店としてオープンしたということになります。

こちらのオススメのメニューをご紹介ください。

【川和田 いづみ 店長】まずは発酵セットを召し上がっていただきたいと思います。こちらは、それぞれ味わいの違う発酵食品の小鉢を3種と、テンペの旨みが充分に染み込んだ美味しいごはんを食していただけます。
他に、醤油麹に漬け込んだ生姜焼きや、塩麹を使った焼き魚、お野菜とテンペのダシがベースになったスパイシーカレーもオススメです。お店の名前、“ハタケト”とは“畑と”共にあるという意味。発酵食品と一緒に、自然農法で採れた野菜本来の味を堪能していただければと思います。

お店のこだわりをオーナーからお話しください。

【入海 健 オーナー】醤油もそうですし、味噌もそう。昔から伝わる発酵食品は、その良さが認められて何世代にも渡って引き継がれてきました。日本の食を見直すという意味でも、ここで様々な発酵食を試していただき、普段の食生活に取り入れていただければと思います。
でも、あまりそんなことばっかり言ってると狭くなっちゃうんですよね（苦笑）。発酵食をマニアの人だけのものにしたくないですし、普通の人に、ただ楽しんで食べていってもらえればという気持ちがあります。要するに美味しければただそれで良いってことで（笑）、そこにプラスα、食べたものへの興味が湧いてくる食を提供していきたいと思っています。

最後に地域の皆様へメッセージをお願い致します。

【川和田 いづみ 店長】発酵の要素を取り入れたデザートや専門家がブレンドしたハーブティーの風味も是非お試しいただければと思います。疲れた時にほっとしていただける、美味しくて健康になれるお食事を提供し続けていきたいと考えています。

【入海 健 オーナー】
今後は味噌作り教室や発酵教室、さらには、ちょっとした農業体験等も催していきたいと考えています。皆さんに畑というものを知っていただく機会をどんどん考えていきたいですね。どうぞお気軽にいらしてみてください。発酵食品をベースとしながら、皆さんに楽しい食事の時間と空間を提供していければと考えています。

※上記記事は2013.2に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。