林 圭一郎 院長（都筑はやし泌尿器科クリニック)のインタビュー

医師である父の影響を受け、人の役に立てる道に

父が小児科の医師でした。お医者さんは私にとって最も身近な職業だったのです。将来の仕事を考えるようになった頃、何か人の役に立つ仕事をしたいという想いが重なり、この道を目指そうと考えたんですね。
大学卒業後、昭和大学北部病院の泌尿器科に在籍しました。泌尿器科は、内科的な要素と外科的な要素を併せ持つ科です。内科で診断をおこない、手術の必要性があれば外科に任せ、再び内科が診るというのが一般的な流れですが、泌尿器科はそのすべてを担う分野であり、またその治療の多様性にも魅力を感じました。
2022年4月に『都筑はやし泌尿器科クリニック』は開院いたしました。この地域の大学病院、基幹病院で10年以上従事して得た経験や専門的知識を、これからは地域の皆さまに還元してまいります。

専門的で的確な診断とスムーズな医療連携

大きな病院に患者さんが集中してしまうと、患者さんの待ち時間も長くなりますし、現場の医師は疲弊してしまいます。大きな病院は手術・化学療法などをメインに行い、その前後の診断やフォローを担っていきたいと考えたのも、開業した大きな動機でした。その役割を担うべく、検査機器等も充実させ、大学病院に比肩する診断・治療を提供してまいります。尿沈渣（にょうちんさ）と呼ばれる、腎・尿路の病気を診断する検査がありますが、当クリニックでは数分で結果が出る機器を導入しました。それから膀胱鏡検査も、先端が細く、できる限り傷みが少なくなるものを入れています。これらの機器を活用し、大きな病院にすみやかに紹介したほうがいいのか、それとも十分に診ていけるのかを的確に判断していきます。その判別については、これまでの経験が役に立つところと思っていますし、スムーズな医療連携で患者さんが最大の利益を得られるよう配慮してまいります。

女性やお子さんの患者さんも

開業する前は男性の患者さんが多いと予想していたのですが、女性が3割、お子さんが1割と、幅広い層の方々に来院いただいています。
女性で最も多いのは膀胱炎や過活動膀胱ですが、最近では骨盤臓器脱に関するご相談が増えてきました。骨盤臓器脱の主な症状としては、下腹部がムズムズする、頻尿、そして不快感などです。ご高齢の方は「どこそこの病院がいい」とコミュニケーションを取り合うことが多いと思うのですが、この分野については話しにくく、1人で抱え込んでしまっている方が多いのが現状です。私は「ウロギネ」と呼ばれる、この泌尿器科と婦人科にまたがる領域を扱うセンターに勤めていたことがあります。そこで培ってきた専門的な知識を生かし、悩める女性の助けになっていきたいのです。

お子さんについては、夜尿症、つまり、おねしょに関するご相談が多くを占め、ついで、男児では陰部のかゆみや不快感というものになります。こうした内容は小児科さんにも相談しにくいでしょうから、私たちを頼りにしていただきたいですね。

できる限り生活の質を損なわない、あなたにとって最良の医療を

患者さんの目線に立ち、できる限り生活の質を損なわない治療を提供してまいります。患者さんがどの症状に一番困っているかを把握することが第一で、その治療もニーズに沿ったものであることが肝要でしょう。例えば、夜間頻尿の傾向が見られても、ご本人、そしてご家族が困っていなければ必ずしも治療をする必要はありませんし、逆に回数が限られていても、昼間に眠気があるですとか、周囲の方がお困りであれば治療の必要性が出てきます。勤務医時代、排尿障害を専門にしてきた経験を踏まえ、その方の生活に合わせた最良の医療を提供できればと思っています。

専門ということでは、生活習慣病と性機能障害との関連について研究してきました。実は、血流障害や動脈硬化によって、勃起障害が起こることが徐々にわかってきています。逆に、勃起障害がまずあって、そこから糖尿病や心筋梗塞が発覚する事例も報告されています。大きな病気の背景に性機能障害が隠れていることもありますので、悩まれている方はどうぞ早めにご相談ください。

地域の方へメッセージ

「泌尿器科は受診しづらい」というイメージを持たれている方は少なくないと思われますが、その症状の背景に生活習慣病であったり、あるいは膀胱癌や前立腺癌といった大きな病気が隠れていることもありますので、些細に思えることでも早めにご相談いただければと思います。泌尿器科のかかりつけ医として、精一杯診させていただきますので、どうぞお気軽にいらしてみてください。

※上記記事は2022年4月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。