上村 あかね 代表（託児所カフェ min tid mom（ミンティッドマム）)のインタビュー

子育て中にリフレッシュできる場所を作りたい

前職は保育士です。12年間、保育士として働くなかで漠然と将来的にはお子さんとお母さんに携わる何かを自分でやりたい、という思いを持っていました。結婚を機に横浜に引っ越してきて、両親や親戚、頼れる人がほぼいない状態のなかで出産、育児。実際に、自分がそういった経験をするなかで私のように近くに頼れる人がいない人って、たくさんいるんじゃないかなと思ったんです。最初は教育や保育の質を高めるようなことがしたいと考えていましたけど、実際に自分が子育てをしてみたら、その前にまずはお母さんのケアが必要。肉体的な疲労を解消できるような時間や場所を作ってあげることが大事だと思ったことが、この託児所×カフェ「min tid mom」をオープンするきっかけです。

お子さんを預けてゆったりとした時間を

当店は、託児所を併設したカフェというスタイルです。平日のみ、未就学のお子さんを隣の託児所に預けていただき、お母さんやお父さんにカフェでゆっくりとくつろいでいただくような形態です。そういった託児所カフェって、ありそうでないと思うんですね。親子一緒に楽しい時間を過ごしましょうという親子カフェは多いですが、当店は完全に分離型。子育てをするなかで、自分一人の時間を大切にできる空間を提供したいという思いから、こういった形態になりました。やっぱりお母さんやお父さん自身が自分を大切にできないと、子どもたちへ心に余裕を持って接することが難しくなりますし、夫婦関係にも影響が出てきてしまうこともあると思うんです。私自身、産後うつまではいきませんでしたが、自分の存在意義が分からなくなってしまい、精神不安定な時期がありました。子育てって、どんなに頑張っても誰かに認めてもらえる場面が少ないとないと思うんですけど、毎日育児に家事を頑張っている自分へのご褒美に、当店でリフレッシュする時間を作っていただきたいと考えています。託児を利用することに罪悪感を持ってしまう方もいるかもしれませんが、ひいてはお子さんたちのためになることでもありますので、ご自身のための時間を当店で過ごしていただけたらうれしいです。

カフェスペースは子育て世代以外も利用可能

未就学のお子さんをお連れの場合、平日は託児利用をお願いする形ですが、土曜日だけは親子カフェとしてお子さんと一緒に過ごせる空間を提供しています。大人だけでのカフェ利用ももちろん可能です。高齢の方や大学生などにもご利用いただいていますし、そういった子育て世代ではない方々に来店いただくこともすごく意味があるのかなと思っています。様々な世代の方々に当店の取り組みを知ってもらうことで、育児の価値観や文化の変化が広がっていってほしいなと思っています。毎月開催しているイベントも、様々な世代の方が講師になってくださっているので、子育ての話をしながら趣味を楽しむ時間になっていますし、参加するママさん同士の繋がりはもちろん世代を超えた繋がりの場所にもなっている気がしています。オープン以降、さまざまな方にいらしていただき、ご縁が生まれる場所にもなっているんだなと自分でも後から気付きました。

一人で苦しんでいる人に届けたい

今は近隣の方のご利用が多いですね。口コミでご利用いただく方も増えています。託児利用いただく場合には、WEBサイトから予約をしていただく形です。スポットも受け入れていますので、当日空きがあればその場でご利用いただくことも可能です。ご利用いただいた方から「唯一無二の空間」「一人の時間を作れたから、今日は子どもに優しく接することができた」といった声をいただけた時は、この場所を作ってよかったなと思いました。「出産してから初めて夫婦二人でゆっくり過ごせた」という声もあり、ご夫婦でのご利用も増えていくと嬉しいです。私の最終的な目標は日本の育児や保育の質を高めることであり、親子にまつわる社会問題を解決すること。例えば産後うつや育児放棄など、そういった孤独を抱えている方に当店のような場所があることを届けれたらなと思っています。

育児環境を改善するため活動を

イベントなどは地域の方が積極的に動いてくださることが多く、都筑区は地域を活性化させたい、盛り上げたいと思っている方が多いことに感激しています。託児所カフェというコンセプトなので、お母さんしか利用できないのかなと勘違いされる方もいらっしゃるかもしれませんが、カフェスペースはどなたでもご利用いただけますので、気軽に遊びに来る感覚でご来店いただけたらうれしいです。今後は、まずは横浜市を中心に少しずつ店舗を増やしていくことも考えています。私も来年度、小1・年少になる二人の子育て中なので、同じ思いを持つ方々と一緒に子育て環境を改善できるような活動をしていきたいと思っています。

※上記記事は2023年1月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。