川村 茜 店舗責任者(ショコラ房)のインタビュー

ショコラ房 川村 茜 店舗責任者

ショコラ房 川村 茜 店舗責任者 AKANE KAWAMURA

2018年に「ショコラボ」に入社。店舗責任者として運営・スタッフ指導にあたる。

健常者と障がい者がコラボレーションするチョコレート工房

「ショコラボ」で働き始めたのは、代表である伊藤紀幸の想いに共感したことがきっかけでした。伊藤代表には、障がいがある息子さんがいらっしゃいます。その息子さんの将来を考えたとき、「自分が死んだあと、生きていけるのか」と不安を感じたそうです。そこで設立したのが、福祉事業所の「ショコラボ」と、製造から販売を行う工房「ショコラ房」でした。

会社名のショコラボという名前には、「ショコラとラボラトリー(工房)」という意味のほかに、「健常者と障がい者がコラボレーションする」という想いも込められています。国籍や障がい、年齢に関係なく、生き生きと働ける場所を作ることが、私たちの役目です。

カカオ豆からチョコレートになる製造工程「Bean to Bar」

当店では「Bean to Bar」の製法でチョコレートを作っています。「Bean to Barって?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。「Bean」がカカオ豆、「Bar」は板チョコレートを意味していて、カカオ豆からチョコレートになるまでの作業を一つの工房で製造することをいいます。

そもそも市販で売られているチョコレートは、カカオマスやお砂糖をメーカーから取り寄せて作られており、カカオ豆そのものから作ることはありません。しかし、カカオ豆から作ることで、豆の風味を活かしたチョコレートが出来上がるんですよ。

障がいのあるスタッフだからこそ

Bean to Barの工程は、なかなか大変な道のりです。まず、各国のカカオ農家からカカオ豆を仕入れ、その豆がつぶれたり割れたりしていないかを一個ずつ選別し、「ロースト」と呼ばれる焙煎作業を行います。その後、ローストした豆の殻を一個ずつ剥ぎ、やっと「カカオニブ」というチョコレートの原料ができるのです。

当社で働く障がいがあるスタッフも、この工程を行います。「難しそうな作業なのに本当にできるの?」と思われるかもしれませんが、障がいのある方だからこそ向いている仕事が、商品を作る過程においていくつもあるんです。

店舗責任者という仕事と向き合う中で

ある障がいがあるスタッフに、カカオ豆の選定をお願いしたときのことでした。「これが良いカカオです。これとは異なるものは排除してください」と伝えて、整ったカカオ豆のサンプルを置いたんです。しかし、そのスタッフは細かく見極めようとするところがあり、少し形が違うだけの問題のないカカオ豆も分けてしまいました。まったく一緒じゃないといけないと思ったのでしょう。

「どう伝えたらいいかな……」と考えた末、今度は穴が開いているなど悪いカカオ豆のサンプルを置きました。すると、そのスタッフは正確に振り分けるようになったんです。伝え方の工夫をすれば、理解してもらえると実感できた瞬間でしたね。それからは、スタッフと肩を並べながら仕事をすることで、問題を解決していくようになりました。

アフリカのカカオ農場とのフェアトレード

近年、各地のカカオ農家から、商品を買い叩く風潮があります。なので当店では、カカオ農家から相場より20%高い価格で買い取ったカカオ豆を使用するなど、良質な商品を適正な価格で仕入れる「フェアトレード」も行っています。

今後の目標としては、日本だけでなく、海外の障がいがある方々の働く場所を増やすため、自社でカカオ農園を持ちたいと思っています。当社のカカオ豆をショコラ房で仕入れ、チョコレート菓子を作れば、丸ごと当社のオリジナル商品になります。5年、10年先になるかもしれませんが、実現させたいですね。私たちの努力が、国籍や障がいにとらわれない社会をつくる一歩になると信じています。

 

※上記記事は2021年7月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

ショコラ房 川村 茜 店舗責任者

ショコラ房川村 茜 店舗責任者 AKANE KAWAMURA

ショコラ房 川村 茜 店舗責任者 AKANE KAWAMURA

  • 出身地: 東京都
  • 趣味: J‐ROCKの音楽を聴くこと
  • 好きな場所: 家のソファ
  • 好きな映画: 『となりのトトロ』
  • 座右の銘: 因果応報 。自分の行動に責任を持ちたいとつねづね思っています。

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