都筑区の学童保育future table(フューチャテーブル) 横沢 正和 主宰 MASAKAZU YOKOZAWA
2007年5月5日に開業した学童保育施設『フューチャーテーブル』。
2007年5月5日に開業した学童保育施設『フューチャーテーブル』。
前職は自動車の営業でした。付き合いの良さとフットワークの軽さ
だけがセールスポイントでしたが、その自分が地域に対してどう貢献出来るかを考えた時、「子ども達のお世話」という考えが浮かんだのです。当時、砂場にカッターナイフが埋まっていたというような物騒な事件が世間を賑わわせていました。今でこそ学童保育は普及していますけども、その当時、このエリアにそうしたものはなかったんですね。都筑区にお住いの方は都内で働かれている方も多く、共働きの世帯も少なくありません。その方達が夜遅くまで安心して子ども達を預けられる保育施設が必要と考えたのです。
子ども達を預かるにあたり、野球であったり、ピアノであったり書道であったり、何かひとつプラスを身につけられる場所と思考し、2007年5月5日に送迎サービスのある『学童保育フューチャーテーブル』を開設しました。
現在までに都筑区内で6店舗を構えるまでになった『フューチャーテーブル』ですが、最初の1年間に預かった子ども達は20人ほど。経営的には非常に苦しかったのですけども、今思えばそれが幸いしたのでしょう。保護者の方々からの様々な求めを真摯に受け止め、どう改善していくかを試行錯誤していきました。苦しかった一年目があってこその二年目で、仮にあの日々がなかったら、今の施設の形は違ったものになっていたでしょうね。
『学童保育フューチャーテーブル』では、「学び」を通じて「道」を伝える「学道」を実践しています。
具体的な「何か」を身につけてもらうことも大切ですが、それ以上に人としての「心」を育てていきたいと思ってるのです。「学道」は、それを実現するためのスタッフの規範となります。
「学道」には3つの柱があります。1つは、未来へとつなげていく「道」。子ども達が夢を持つことが出来れば、おのずと歩んでいく道は定まっていくと思うのです。プロ野球選手になりたい、という子がいたとしましょう。当然、野球の練習も必要ですが、勉強をおろそかにしてはいけませんし、その時々の目標設定が必要になります。夢が決まれば道が決まる。この子たちが今何をすべきかを伝えることが、私たちが考える「道」なのです。
2番目の柱は、「道具」です。ここで言う道具とは、礼儀や挨拶です。いくら勉強ができようと運動ができようと、挨拶がしっかり出来ない人間は社会的に信用されません。そうと考えれば、礼儀や挨拶はは将来を左右するかけがえのない「道具」と見ることが出来ます。それをこの段階でしっかり身につけてもらいたいのです。
「学道」の最後の柱が、「道徳的な規範」を意味する「Tao」です。子ども達に関わるスタッフには、それぞれに“伝えたいこと”があります。私を例にしましょう。一緒にご飯に行くとなれば、「いただきます」「ごちそうさま」に加えて、「美味しかったです」と言えるようになろうと伝えています。「ごちそうさま」と言うのは当たり前です。この一言があるかないかで、受け手の気持ちはまったく違ってきます。喜んでくれたら、また一緒にご飯に、って思いますよね。これも機械的に付け加えるのではなく、自然に出てくるようでなければいけません。それこそが本当の敬意であり、感謝だと思うのです。
3つ目の柱は、具体的に「何」というものではありません。しかし、スタッフが100人いれば、百通りの異なる魂を子ども達に伝えていけることになります。それは将来ある子ども達の無形の財産になると思うのです。
6校ある施設では、それぞれに趣向を凝らしたプログラムを実施しています。ピアノや書道、そろばんはその基本となるものであり、年に一回の芸術発表会もおこなっています。さらに私は学生時代に野球をやってきましたので、野球にサッカー、ダンスといったスポーツ教育には特に力を入れています。
特色あるプログラムとして、「英語で習うバスケットボール」があります。もう10年ほど前のことになりますが、学童保育における英語教育の必要性を感じ、英語とスポーツの融合を考えた結果生まれたものです。机を並べて英語に直に取り組むのも大切ですし、またそれがなければ身についていかないでしょう。でも同時に、英語を習いたいと思う気持ちを育てていかなければと思ったのです。イチローさんや松井さんがメジャーリーグを目指し、大成したのは英語が話せたからではありません。その環境に入ることで必要に迫られ、英会話が身についたということが大きいでしょう。こちらでも自ら英語を勉強したいと思う心が育つよう、バスケットボールを英語で習う場を作ったのです。
何事も、やる気が大きく関係します。子ども達の向上心を育て、充実した放課後生活が送れるよう、今後も様々なチャレンジをしてまいります。
『学童保育フューチャーテーブル』では、グループとして野球チーム(「横浜フューチャーズ球団」「横浜都筑リトルシニア」)やサッカーチーム(「フューチャーギャルズ」)の運営にも携わらせていただいています。学童保育のみならず、スポーツを通じて都筑区のさらなる発展にも貢献していきたいと思っています。
競争が1つのジャンルを活性化させることは間違いのないことでしょう。10数年前からすれば考えられないほど、都筑区の学童保育は環境が整ってきました。手をつなぐではありませんが、学童保育に携わるものが切磋琢磨することが、都筑区の子ども達のより一層の安全で健全な発育につながっていくと思ってます。皆さまへの感謝を胸に、より地域に貢献できるよう、今後も様々なアイデアを形にしていきたいですね。
※上記記事は2020年10月に取材したものです。
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