村澤 智弘 代表（ムラエンターテイメントスタジオ)のインタビュー

この道に至るきっかけと、これまでの経緯をお聞かせください。

エンターテイメントに最初にふれたのは高校生の時でした。私は全寮制の高校に通っていたんですが、上下関係がものすごく厳しいところで、「3年生は神様、2年生は平民、1年生はドレイ」と例えられていました（笑）。その神様である3年生を楽しませるために、1年生は毎日、余興を披露しなければいけないことになっていて、困った私はあろうことか、3年生をネタにして好きなことを言いまくる、ということをしちゃったんです。それが思いのほか受けが良くて、以来、人前に出ることが楽しみへと変わっていきました。余興をきっかけにして本格的にお芝居を習いたいと思うようになり、卒業後は大阪芸大舞台芸術科へと進んだんです。大学を卒業後、佐竹毅氏に師事し、師の手掛けた作品に出演する一方、東宝の『エリザベート』、ディズニー主催ステージでの歌のお兄さん、吉本興業主催の芝居、宝塚歌劇団のコンサート等に出演していました。余談ですが、本来は男子禁制の宝塚で、私は初めてその舞台に立った4人の男性のうちの1人なんです（笑）。本当に大阪時代は色々なことを経験しましたが、30歳を迎えて区切りをつけようと思い、劇団四季の入団テストを受けました。ダメでもともと、これで終わっても後悔はない、という心境での挑戦でしたが、その試験に合格したことで関東へと出てきたんです。 四季で7年におよぶキャリアを送ったのち、2012年に『ムラ・エンターテイメントスタジオ』をオープンしました。幅広いジャンルのエンターテイメントを通じて、あなたの「楽しい」を応援していけたらと思っています。

『ムラ・エンターテイメントスタジオ』の概要をご説明ください。

ミュージカルに歌、そしてジャズダンス、バレエ、タップ、ヒップホップ等、現場での豊富な経験を持つ舞台俳優や現役ダンサーたちに協力していただき、多彩なジャンルのレッスンを展開しています。 ニーズに合わせ、様々な形でのレッスンを受けていただくことが出来ますが、中で特徴的なのが『受け放題クラス』です。こちらは、全てのレッスンを受けることが出来て、生徒が望むなら毎日レッスンを受けられるスタイルになっています。もうお亡くなりになりましたが、私が大学にいた時の教授に、俳優のフランキー堺先生がいらっしゃいました。先生が仰っていたことで非常に印象に残っていることがあって、それが、「歌のレッスンを歌のレッスンと思うな。ダンスもそう。芝居もそう。全てをつながっていると考えてレッスンにはげみなさい」というものでした。
実際、お芝居で声を出す練習は、自然と歌の稽古につながっていきます。「つながる」という意識を持ってレッスンに取り組むことで、総体的なレベルアップになっていくと考えています。

生徒を指導する際に大事なことは何でしょうか？

四季の時代に後輩に教えていた経験があって、それを活かすことを考えて今に至った面はありますが、といって四季の教え方をそのままこちらに持ってくるということはしていません。私としてはその生徒の個性を伸ばしていってあげたいという思いがあります。「きれいに回ってなかった」「手が、足が伸びてなかった」 舞台を見た人の、経験に基づいた評価は気になるものです。しかし、技術面の問題は時間さえ積めば解決することでもあるんですね。まずは本人が必死で取り組むことが大事で、それを続けていけば、やがてその人の色が出てくるようになります。個性という名の色。これは一朝一夕に出来てくるものではありませんし、全ての生徒が自分だけの色を持てるよう、親身になってサポートしていきたいと考えています。

『遊びのクラス』とは？

『遊びのクラス』では、自分たちでルールを考え、1時間なら1時間、思いっきり遊んでもらう"だけ"のクラスです。私たちが子供の頃って遊ぶものが何もない時代でしたから、自分たちで遊びを作ってたじゃないですか。「こうなったら、こうなる」「ここで何秒止まってなきゃいけないんだよ」とかって。今の子ども達って、遊びを考えることがないんですよね。テレビゲームに代表されるように、与えられたもので、与えられたルールに則って遊ぶ"だけ"、なんです。創造力というものは遊びの中で育まれるものではないでしょうか。みんなで協力し合って「遊びを創っていく」ことが、子ども達の可能性を広げてくれるのではないかと思っています。

最後に地域の皆様にメッセージをお願いします。

スタジオとして、お芝居はもちろん、ボランティア活動やイベントにも積極的に参加していきたいと思っています。また、それと並行する形で、エンターテイメントに参加された経験をお持ちでない区民の方に呼びかけ、区民ミュージカルに取り組んでみたいと考えています。スタジオという枠にとらわれることなく、この地域の活性化に役立っていきたいですね。自分が一生懸命になれるものを見つけたなら、がむしゃらに取り組んでもらいたいと思います。そして、思う存分楽しんでもらいたい。そのためのサポートには力を惜しまないつもりですし、みんなの一生懸命を応援していけたらと考えています。

※上記記事は2014.4に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。