永二 とし子 藤本流総師範(三味線教室 永二とし子)のインタビュー

三味線教室 永二とし子 永二 とし子 藤本流総師範

三味線教室 永二とし子 永二 とし子 藤本流総師範 TOSHIKO NAGAJI

三味線を始めたきっかけや、経緯をお聞かせください。

母が三味線やお琴をたしなんでいました。小さい頃からその音を聴き、実際に触れてみることで、その世界への興味を持つようになったということです。20歳の頃から三味線にお琴、踊りを習っていたのですが、結婚してからはしばらくご無沙汰していました。しかし子育てが一段落してから、今度は三味線に絞って習うようになったのです。
長唄は杵家(キネヤ)先生に。端唄、民謡は藤本流のもとで。小唄は蓼(タデ)派で修養を積みました。

自分でたしなむだけでなく、人に教えたいと最初から思っていました。趣味にとどまらず、どなたかにそれを伝えることが新たな修養につながるという考えだったんです。
もう40年になりますね。古稀を迎えたものですから(笑)。

お稽古の際、心掛けていることをお聞かせください。

お一人ずつ、1時間のお稽古をマンツーマンでおこないます。お弟子さんは中学生から80歳近くの方までと幅広い世代の方が見えてますので、全て同じカリキュラムでというわけにはまいりません。その方、その方にあったスピードというものがありますから、カリキュラムには工夫を重ねる必要があります。特に中学生や高校生のお弟子さんは非常に覚えが早いのです。ですが、ご年配の方は味があり、お若い方と違った良さをお持ちですので、お一人お一人にあった教え方をしていかなければと考えています。

現代の三味線についてお聞かせください。

琵琶法師で知られる語りものから三味線は始まり、それが時代を経て民衆が手にすることの出来る楽器として現代に至った歴史があります。そして今もなお三味線は進化し続ける奥の深いものです。自分にあるものだけでは範囲は広がりませんし、新しい曲がどんどんと作られていますので私自身もお稽古に出向き、自らを高める必要があります。

和の曲に限らず、ラ・クンパルシータ(La Cumparsitaはアルゼンチン・タンゴの代表楽曲)であるとか、洋の東西を問わず新しいものが次々と出てきています。
私のもとにおります中学生や高校生の子ども達は合奏曲が好きなんです。基本となる旋律を奏でる本手(ホンテ)とそれを引き立てる替手(カエデ)。高音と低音が一緒となった合奏が楽しくて仕方がないようです。
私自身も横浜市歌を三味線で弾きたいという子ども達の希望がありましたので、譜面におこしたことがございました。手前味噌と申すのでしょうかね(笑)。

お稽古と礼儀についてお聞かせください。

お弟子さんにはお若い人も多いものですから、自然と礼儀に目が向きます。ただ三味線を弾くだけでなく、まずはしっかりとした挨拶といった礼儀が備わっていなければと思うのです。大学生である子が初めてお稽古に来た際、穴の開いたジーンズを履いてきたことがあります。私は最初、「あら、寒そうね。大丈夫?」と声を掛けたのですが、「いや、これ、流行なんです」と(笑)。
しかし正座をしてお稽古をしておりますと気になって仕方がありません。「その格好を見ながらお稽古は出来ない」と言うと、その子は翌日からちゃんとした穴の空いてないズボンを履いてくるようになりました。
横ではなく、縦の関係は今の時代、流行らないのかもしれませんが、それはそれで重要なことだと思えるのです。礼儀や作法、目上の方への接し方というものを、お稽古の最中は大事にしていきたいと考えています。
お稽古が終わり、お茶菓子をどうぞとなると何でも宜しいので。私も普通のおばさんに戻りますから(笑)。

最後に三味線に興味のお持ちの方へメッセージをお願いします。

三味線にはお唄が付きものです。ですが「お唄はイヤです、三味線だけでいいんです。」と仰る方もいらっしゃいます。無理にとは申しませんけど、唄を唄うことによって新たな自分の一面を発見出来る場合もあるんです。実際に入門後2年経っても唄を唄わない方が、ある拍子に唄を唄うことになって、すっかり唄の魅力にはまった例もあるんですよ。
当教室では体験入学も随時おこなっています。音に親しんでもらうところから始まるんです。大概の方にとって三味線は見たことも、聞いたこともないものですので、まず見て触れて、実際に音を出していただくところから始めます。「チン、トン、シャン」という三味線の音、そこからですね。
1時間もすれば『さくらさくら』が少し弾けるようになりますから、そこから入っていただき、どんどんと三味線の奥深さに親しんでいっていただければと思っています。

※上記記事は2011.2に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

三味線教室 永二とし子 永二 とし子 藤本流総師範

三味線教室 永二とし子永二 とし子 藤本流総師範 TOSHIKO NAGAJI

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  • 好きな言葉・座右の銘: 幸せ
  • 好きな音楽: 邦楽
  • 好きな場所: 温泉
  • 生年月日: 1940年2月12日
  • 出身地: 神奈川県
  • 血液型: A型
  • 趣味・特技: 三味線

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